「高校教師の仕事は楽すぎる」という話をよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか？長期休暇が多く、安定した給与や福利厚生を享受できるイメージがある高校教師ですが、その実態は想像以上に多忙で、責任も重大です。一方で、塾講師を目指す方にとって、高校教師との違いを理解することは、自分のキャリアパスを考える上で大切なポイントとなります。この記事では、高校教師の業務内容や年間スケジュール、給与体系などを詳しく解説し、塾講師との比較を通じて、あなたに合った教育者としての道を探る手助けをします。高校教師の仕事が「楽すぎる」と言われる理由と、その実態に迫りながら、教育業界でのキャリア選択に役立つ情報をお伝えしていきます。
高校教師の業務内容と塾講師との違い
高校教師と塾講師はどちらも教育者ですが、その業務内容や働き方には大きな違いがあります。高校教師は公教育の場で生徒を指導する立場であり、教科指導だけでなく生徒指導や部活動の顧問など多岐にわたる業務を担当します。一方、塾講師は主に受験指導に特化した教育を行い、教科指導がメインとなります。
両者の違いを理解することで、自分に合った教育者としてのキャリアパスを選択する助けになるでしょう。高校教師が「楽すぎる」と言われる理由にも迫りながら、塾講師を目指す方に役立つ情報をご紹介します。
高校教師の基本的な業務スケジュール
高校教師の1日は非常に規則正しく構成されています。多くの教師は朝7時半頃に出勤し、朝の職員会議や準備時間を経て、8時半頃から授業を開始します。授業は1コマ50分程度で、1日に3〜5コマ担当するのが一般的です。
授業と授業の間には空き時間が設けられており、この時間を利用して教材研究や採点作業、事務作業などを行います。多くの高校教師がこの空き時間を効率的に活用することで、家に持ち帰る仕事を減らす工夫をしています。
放課後は部活動の指導や生徒との面談、職員会議などがあり、退勤時間は早くて17時、遅い場合は19時以降になることもあります。ただし、定時で帰れる日も多く、年間を通して見れば比較的規則正しい生活が送れる職業といえるでしょう。
一方、塾講師の場合は生徒が学校から帰ってくる夕方から夜にかけての勤務が中心となります。平日の昼間は空いていることが多いため、副業や自己研鑽の時間に充てることができるというメリットがあります。ただし、土日や長期休暇中の勤務が多くなる傾向があり、特に受験シーズンは非常に忙しくなります。
高校教師と塾講師の業務スケジュールの違いを理解し、自分のライフスタイルに合った選択をすることが重要です。規則正しい生活を送りたい方には高校教師が、フレキシブルな働き方を求める方には塾講師が向いているかもしれません。
教科指導と授業準備の実態
高校教師の主要業務である教科指導は、一度カリキュラムを確立すると比較的楽になる側面があります。特に経験を積んだベテラン教師の場合、過去の授業資料やノウハウを活用することで、新たな授業準備の負担を大幅に減らすことができます。
高校の教科書は数年間同じものを使用することが多く、一度作成した授業計画や教材は繰り返し使うことができるのも大きな特徴です。また、学校によっては教科ごとのチームティーチングを採用しており、教材開発を分担することで個々の負担が軽減されることもあります。
ただし、新学習指導要領への対応や新しい教育手法の導入など、定期的に更新が必要な場面もあります。特にICT教育の導入が進む現在では、デジタル教材の作成や活用方法の習得など、新たなスキルが求められることも少なくありません。
対して塾講師の場合は、受験に特化した独自のカリキュラムや教材を使用することが多く、常に最新の入試傾向を分析し、効果的な指導法を模索する必要があります。特に有名進学塾では、独自の教材開発や指導メソッドの研究に力を入れており、講師にも高いレベルの専門知識と指導スキルが求められます。
両者を比較すると、高校教師は一度システムを確立すれば比較的安定した指導が可能である一方、塾講師は常に変化する受験情勢に対応するための継続的な研鑽が必要と言えるでしょう。教科指導の内容や深さを重視するか、指導の自由度や専門性を重視するかによって、適性が分かれる部分です。
生徒指導と部活動の負担
高校教師の業務で特に負担が大きいと言われるのが生徒指導と部活動の顧問です。生徒指導は学校生活全般にわたる指導であり、服装・頭髪チェックから生活態度の指導、問題行動への対応まで多岐にわたります。
特に問題を抱える生徒への対応は精神的な負担が大きく、保護者対応も含めて時間外の業務が増えることもあります。学校の方針や生徒の質によって負担の程度は大きく異なりますが、生徒指導が得意な教師にとっては、やりがいを感じる部分でもあります。
部活動の顧問も大きな業務の一つです。特に運動部の顧問を務める場合、平日の放課後だけでなく、週末や長期休暇中の練習や試合引率など、多くの時間を費やすことになります。自身が経験したことのない競技の顧問を任されるケースもあり、そうした場合は指導法の勉強から始める必要があります。
一方で、文化部や軽めの運動部の顧問であれば、比較的負担は少なくなります。また、最近では働き方改革の一環として、部活動の外部指導者の導入や活動日数の制限など、教師の負担軽減策が進められています。
塾講師の場合は、基本的に教科指導がメインであり、生徒指導や部活動のような付随業務はありません。生徒との関わりは授業時間内が基本で、問題行動への対応も塾のルールに基づいた限定的なものとなります。ただし、生徒や保護者からの信頼を得るためには、単なる知識の伝達だけでなく、モチベーション管理や学習習慣の指導など、教育者としての幅広いスキルが求められます。
教師と塾講師のどちらを選ぶかは、生徒との関わり方についての価値観に大きく左右されるでしょう。生徒の人間的成長に深く関わりたい方は教師が、学力向上に特化した指導をしたい方は塾講師が向いているかもしれません。
校務分掌と事務作業の現実
高校教師の業務には、教科指導や生徒指導以外にも「校務分掌」と呼ばれる学校運営に関わる仕事があります。これには進路指導部、生徒指導部、教務部など様々な部署があり、教師はいずれかの部署に所属して学校全体の運営に携わります。
校務分掌の業務内容は多岐にわたり、行事の企画・運営、各種書類の作成、会議の準備などが含まれます。特に学年主任や部長などの役職に就くと、責任も大きく業務量も増加します。しかし、経験を積むことで効率的に処理できるようになり、システム化された業務も多いため、慣れてくると負担感は軽減されます。
事務作業については、成績処理や指導要録の作成、各種調査への回答など、定期的に発生する業務があります。最近では校務支援システムの導入が進み、以前に比べると作業効率は向上しています。ただし、学校によってはアナログな処理方法が残っている場合もあり、そのような環境では事務作業の負担が大きくなることも。
塾講師の場合、事務作業は基本的に授業報告書の作成や生徒の進捗管理が中心となります。大手塾では専門のスタッフが事務作業を担当しているケースも多く、講師は教科指導に集中できる環境が整っていることが一般的です。ただし、個人塾や小規模塾では、講師が教務と事務の両方をこなす必要がある場合もあります。
校務や事務作業への関わり方の違いは、キャリア選択において重要なポイントです。学校運営に携わりながら幅広いスキルを身につけたい方は高校教師が、教科指導に特化したい方は塾講師が適しているでしょう。
高校教師の年間スケジュールと休暇の実態
高校教師の仕事が「楽すぎる」と言われる大きな理由の一つが、長期休暇の存在です。春休み、夏休み、冬休みといった長期休暇期間は、生徒が登校しないため、通常期に比べて業務負担が軽減されます。しかし、実際はどうなのでしょうか？
高校の年間スケジュールに沿って、繁忙期と閑散期の波があり、それぞれの時期によって業務量や内容が大きく変化します。長期休暇中も完全に休めるわけではなく、様々な業務が存在します。一方で、民間企業に比べると確かに休日は多い傾向にあり、ワークライフバランスを重視する方にとっては魅力的な職業といえるでしょう。
長期休暇中の実際の業務
高校教師の長期休暇と聞くと、完全に休めるイメージがあるかもしれませんが、実際にはさまざまな業務があります。夏休みを例にとると、最初の数日間と最後の数日間は登校日となっており、職員会議や研修、次学期の準備などが行われます。
特に夏季休暇中は、部活動の指導や大会引率、補習授業、進学指導、学校行事の準備など、多くの業務が集中します。インターハイや文化祭などの大きな行事が控えている場合は、休暇中もほぼ毎日出勤することもあります。
ただし、これらの業務は教師の担当や学校の方針によって大きく異なります。部活動を持っていない教師や、補習授業の担当がない教師は、比較的自由に使える時間が多くなります。また、学校によっては「部活動休養日」を設けるなど、教師の負担軽減策を導入しているケースも増えています。
対して塾講師の場合、学校の長期休暇中こそが最も忙しい時期となります。特に夏休みは集中講座や合宿など、通常期以上の授業コマ数をこなすことが一般的です。また、受験を控えた生徒への個別指導や進路相談なども増加し、非常に多忙な時期となります。
長期休暇の過ごし方は職業選択において重要なポイントです。一定の業務はあるものの比較的自由度が高い高校教師と、休暇中こそ本格的に稼働する塾講師では、ライフスタイルや価値観に合わせた選択が必要でしょう。
土日祝日の勤務状況
高校教師の土日祝日の勤務状況は、担当する業務や学校の方針によって大きく異なります。基本的には土日祝日は休日ですが、部活動の顧問を務める教師は週末に練習や試合の引率で出勤することが少なくありません。
特に運動部の顧問を担当している場合、週末の大半を部活動に費やすことになります。地方大会や全国大会の時期は連続して出勤することもあり、その負担は決して小さくありません。一方で、文化部や同好会の顧問であれば、週末の活動頻度は比較的少なく、休日を確保しやすい傾向にあります。
また、学校行事が土曜日に実施されるケースも多く、体育祭や文化祭、オープンスクールなどのイベントでは全教員が出勤することになります。ただし、こうした出勤に対しては振替休日が設けられることが一般的で、平日に休みを取ることができます。
近年の働き方改革により、多くの学校では週休日の部活動時間の制限や、月に複数回の「部活動休養日」を設定するなど、教員の負担軽減策が導入されています。また、部活動の外部指導者の活用も進んでおり、徐々に改善の兆しが見えています。
塾講師の場合、土曜日は通常授業がある日で、日曜日も特別講座や模試が実施されることが多いため、週末勤務が基本となります。特に受験シーズンは日曜日も含めて毎日授業が入ることも珍しくありません。ただし、平日の昼間は比較的自由に使える時間が多いため、週休二日制とは異なる独自のリズムで働くことになります。
土日祝日の過ごし方は、プライベートの充実度に直結する重要な要素です。週末の時間を大切にしたい方は、部活動負担の少ない教師ポジションや、平日集中型の塾講師が向いているかもしれません。
繁忙期と閑散期のメリハリ
高校教師の業務量は年間を通じて大きく変動します。特に繁忙期となるのは、入学式・卒業式などの行事が集中する4月と3月、期末試験や成績処理が行われる7月と12月、そして受験シーズンの1〜2月です。
4月は新年度の準備や新入生への対応で多忙を極めます。新しいクラス編成や校務分掌の引き継ぎ、年間計画の立案など、1年の土台となる重要な業務が集中します。また、3月は卒業関連の行事や次年度の準備で忙しくなります。
7月と12月は期末試験の作成・実施・採点に加え、通知表作成や成績処理など、評価に関わる業務が集中します。特に学年末の成績処理は進級判定に直結するため、慎重かつ迅速な作業が求められます。
一方で、5月や10月などは比較的落ち着いた時期となり、通常の授業と部活動指導が中心となります。また、長期休暇中も前述のとおり一定の業務はあるものの、出勤日数は減少し、自己研鑽や休養の時間を確保しやすくなります。
このように明確な繁忙期と閑散期のメリハリがあることは、高校教師の大きな特徴です。忙しい時期は非常に忙しいですが、その分、比較的余裕のある時期もあるため、年間を通じてワークライフバランスを調整しやすい面があります。
塾講師の場合、受験シーズンの12月〜2月と、長期休暇中の集中講座が行われる7〜8月が最も忙しい時期となります。特に受験直前期は、通常授業に加えて個別質問対応や志望校相談など、多岐にわたる業務が発生します。反対に、3月や4月は新学期の準備期間となるため、比較的余裕がある時期と言えるでしょう。
年間の業務サイクルを理解し、自分のライフスタイルとの相性を考慮することが、教育職のキャリア選択において重要です。繁忙期と閑散期のメリハリがある環境を好む方は、高校教師が向いているかもしれません。
休暇取得の実態と代休制度
高校教師の休暇制度は、公務員としての福利厚生の一環として充実しています。年次有給休暇は初年度から20日付与され、最大40日まで繰り越しが可能です。また、夏季休暇（7〜8月）に3〜5日程度の特別休暇が別途設けられています。
しかし、実際の休暇取得率は教師の担当業務や学校の雰囲気によって大きく異なります。特に進路指導や部活動顧問などの責任ある立場にある教師は、長期の休暇を取ることが難しい傾向にあります。また、学校行事や定期試験などの重要な時期は休みづらく、実質的に休暇を取れる時期が限られてしまうことも。
土日の部活動指導や学校行事で出勤した場合には、原則として振替休日が付与されます。これを利用して平日に休暇を取ることで、病院受診や私用の時間を確保することができます。ただし、授業がある日に休暇を取ることは生徒への影響が大きいため、実際には長期休暇中や授業の少ない日に振替休日を取ることが多いようです。
最近では教員の働き方改革が進み、「学校閉庁日」を設定して全教職員が休む日を作ったり、部活動の活動日数を制限したりする取り組みが広がっています。こうした制度改革により、徐々に休暇を取りやすい環境が整いつつあります。
塾講師の場合、雇用形態によって休暇制度は大きく異なります。正社員であれば有給休暇制度がありますが、アルバイトやパートタイム講師の場合は、シフト制での勤務となるため、希望休を出すことで休日を調整します。ただし、受験シーズンや長期休暇中の集中講座期間は、原則として全員出勤となるケースが多いです。
休暇取得のしやすさは、仕事とプライベートのバランスを考える上で非常に重要な要素です。安定した休暇制度を求める方は高校教師を、柔軟な勤務体系を求める方は塾講師を選ぶといった判断材料になるでしょう。
高校教師の給与・待遇と塾講師との比較
高校教師が「楽すぎる」と言われる理由の一つに、安定した給与と手厚い福利厚生があります。公立高校の教師は地方公務員として位置づけられ、基本給に加えて各種手当が支給されます。また、昇給・昇格のシステムも明確で、年功序列的な側面も強いため、長く働くほど収入は増加する傾向にあります。
一方、塾講師の給与体系は雇用形態や塾の規模によって大きく異なります。大手進学塾の正社員講師は比較的高水準の給与を得られることもありますが、アルバイト講師の場合は時給制となり、授業コマ数によって収入が変動します。
両者の給与・待遇を比較しながら、それぞれのキャリアパスにおける経済的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
年収と昇給システムの実態
公立高校教師の初任給は大学卒業の場合、地域によって異なりますが、おおよそ20万円〜23万円程度です。これに各種手当（期末手当、勤勉手当、住居手当、通勤手当など）が加わり、初年度の年収はおよそ350万円〜400万円になることが一般的です。
教職経験を積むにつれて基本給は徐々に上昇し、30代後半〜40代になると年収600万円〜700万円に達することも珍しくありません。管理職（教頭、校長）に昇進すれば、さらに高い年収を得ることができます。また、定期昇給のほか、勤務評価によるボーナス（勤勉手当）の増減もあります。
私立高校教師の場合は学校によって給与体系が異なりますが、公立高校と同等かそれ以上の待遇を提供している学校も多いです。特に難関私立校や有名校では、優秀な教師を確保するために高い給与水準を設定していることもあります。
一方、塾講師の年収は雇用形態によって大きく異なります。大手進学塾の正社員講師の場合、初任給は20万円〜25万円程度で、高校教師とほぼ同等かやや高めです。成績優秀な講師は早期の昇進・昇給も可能で、生徒の成績向上や志望校合格実績によって業績給が加算されるケースも。30代〜40代のベテラン講師になると、年収700万円〜1000万円以上も十分可能です。
ただし、アルバイト講師の場合は時給制となり、一般的に1,500円〜3,000円程度の時給で、授業コマ数に応じた収入となります。週10コマ（20時間）程度の勤務で月収10万円〜15万円ほどになるでしょう。大学生や社会人の副業としては魅力的な収入と言えます。
高校教師は安定した収入と着実な昇給が魅力ですが、塾講師は成果次第で高収入を得るチャンスがあるという違いがあります。リスクを抑えた安定志向か、成果に応じた報酬を求めるかで選択が分かれるポイントでしょう。
福利厚生と雇用の安定性
公立高校教師は地方公務員として手厚い福利厚生が用意されています。健康保険、厚生年金、雇用保険などの基本的な社会保険はもちろん、共済組合による独自の福利厚生も充実しています。
特に共済組合では、病気休暇や育児休業の制度が充実しており、長期の休暇を取得しても身分が保障されています。例えば、病気休暇は90日間は給料全額支給、その後も最長3年間は一定割合の給料が支給されるなど、安心して療養できる制度が整っています。また、育児休業も子どもが3歳になるまで取得可能で、その間の身分も保障されています。
住宅面でも、住宅手当の支給や共済組合の低利融資を利用できるなど、住居確保のサポートも充実しています。さらに、共済組合の保養所や各種割引サービスなど、福利厚生施設の利用も可能です。
雇用の安定性も公立高校教師の大きな魅力です。正規採用された場合、基本的に定年（60歳または65歳）まで雇用が保障されています。人事異動はありますが、基本的には同一県内での転勤となり、大幅な生活環境の変化は少ないでしょう。
一方、塾講師の福利厚生は雇用形態によって大きく異なります。大手進学塾の正社員であれば、一般企業と同等の福利厚生（健康保険、厚生年金、雇用保険、退職金制度など）が用意されていることが多いです。また、独自の研修制度や資格取得支援など、教育者としてのスキルアップをサポートする制度も充実している傾向があります。
しかし、アルバイト講師やパートタイム講師の場合は、社会保険の適用外となることも多く、福利厚生は限定的です。また、雇用の安定性も正社員に比べると低く、生徒数の変動や授業評価によって契約が更新されない可能性もあります。
雇用の安定性と福利厚生の充実度は、長期的なキャリア形成を考える上で重要な要素です。家族を持つ予定のある方や、安定した生活基盤を求める方には高校教師が、より自由度の高い働き方を求める方には塾講師が向いているかもしれません。
副業・兼業の可能性
高校教師の副業・兼業については、地方公務員法に基づく規制があります。原則として営利企業等への従事は制限されていますが、教育に関連する一部の活動については許可を得ることで従事可能です。
例えば、教科書執筆、問題集作成、教育関連の講演活動などは、本業の教育活動と関連性が高いため、許可されるケースが多いです。また、学校の長期休暇中に行う学習塾等での指導も、一定の条件のもとで認められることがあります。
しかし、これらの副業・兼業を行うためには所属長（校長）の許可が必要で、本業に支障をきたさないことが大前提となります。また、地域や学校によって運用の厳しさは異なるため、実際に副業を検討する際は各自治体の規定を確認することが重要です。
公立高校教師の中には、これらの副業を通じて本業の給料に加えて年間数十万円〜数百万円の副収入を得ている方も少なくありません。特に難関校の受験指導や専門性の高い教材執筆などは、高収入につながる可能性があります。
一方、塾講師は本来的に柔軟な勤務形態であり、特にアルバイト講師やパートタイム講師であれば、他の仕事と掛け持ちすることが比較的容易です。大学生が学業と並行して塾講師をしたり、社会人が本業の傍ら週末だけ塾講師として働いたりするケースは珍しくありません。
正社員講師の場合でも、勤務時間外での活動については比較的自由度が高く、教材執筆やオンライン授業、個別指導など、様々な形で収入を増やす機会があります。
自分に合った教育者としての道を選ぶために
高校教師と塾講師、どちらの道を選ぶかは、あなた自身の価値観やライフスタイル、キャリア目標によって異なります。
高校教師は公教育の場で生徒の成長を長期的に見守り、教科指導だけでなく人間形成にも関わる仕事です。安定した給与と福利厚生、明確なキャリアパスが魅力である一方、部活動指導や校務分掌など多岐にわたる業務をこなす必要があります。「楽すぎる」というイメージとは裏腹に、実際には責任も大きく、多忙な日々を送ることになるでしょう。
対して塾講師は、より専門性の高い教科指導や受験対策に特化した教育を提供する仕事です。勤務時間の柔軟性が高く、成果次第では高収入も期待できますが、安定性では高校教師に劣る面もあります。
どちらの道を選ぶにしても、教育者として生徒と向き合う姿勢や、自己研鑽を続ける意欲が何より大切です。この記事で紹介した情報を参考に、自分にとって最適な教育者としての道を見つけてください。教育の仕事は決して「楽」ではありませんが、生徒の成長や成功に関われる喜びは何物にも代えがたいものです。
